正法眼蔵がなければ死んでいた 私にとっての正法眼蔵 行仏威儀その七十

 岩波文庫169、170ページ「雪峰山真覚大師、示衆云(じしゅにいわく)、三世諸仏、在火焔裏、転大法輪(三世諸仏、火焔裏に在つて大法輪を転ず)。

 玄沙院宗一大師云(いわく)、火焔為三世諸仏説法、三世諸仏立地聴(火焔ゝ三世諸仏の為に説法するに、三世諸仏地に立ちて聴く)。

 圜悟禅師云、将謂猴白、更有猴黒、互換投機、神出鬼没(将に謂へり猴白(こうはく)と、更に猴黒(こうこく)有り。互換の投機、神出鬼没なり)。

烈焔亙天仏説法、
亙天烈焔法説仏。
風前剪断葛藤窠、
一言勘破維摩詰。

(烈焔亙天(れつえんかんてん)は、仏、法を説くなり、亙天烈焔(かんてんれつえん)は、法、仏を説くなり。風前に剪断(せんだん)す葛藤窠(かっとうか)、一言に勘破(かんは)す維摩詰(ゆいまきつ)。)」

 雪峰義存(せっぽうぎぞん)禅師が人々に対して説法しておっしゃるには「過去・現在・未来の仏といわれる方々は炎が燃え盛る中で大宇宙の真理を説かれている。」

 玄砂師備(げんしゃしび)禅師がおっしゃるには、「燃え盛る炎が去・現在・未来の仏といわれる方々に説法しているのを仏といわれる方々が立って聴いている。」

 圓悟克勤(えんごこくごん)禅師がおっしゃるには「猴白、猴黒という悪知恵にたけた大悪党がいたが、この二人のように、雪峰義存禅師、玄砂師備禅師はともに優れた方々でお互いに優れた説法をし、その活動は何にも束縛されず神出鬼没である。」

 激しい炎が全天に広がる中で仏は大宇宙の真理を説き、全天が激しい炎となって大宇宙の真理が仏とは何かを説いている。炎が巻き起こす風によって、蔦や藤のように絡み付いてまるで巣窟のようになっている状態を切り裂き、一言のもとに維摩詰とは何かを見破っている。(維摩詰とは釈尊の時代の在家。非常に優れた人で釈尊の弟子も一目置いていたという)

 この現実の世界は厳しい。瞬間瞬間が生死の境目だ。その状態は燃え盛る炎に例えることが出来るだろうと思う。その現実の中に大宇宙の真理がある。というか現実が大宇宙の真理そのものだ。その燃え盛る炎のような現実の中で瞬間瞬間を一生懸命生きることによって葛藤の塊を切り裂き、切り開いていくことが出来る。つべこべ頭の中で考えているだけではそれは不可能だ。そのことを伝えるために代々の祖師の方々は、本来言葉では表現できない大宇宙の真理を、このように炎などを例えに使って説法されてきている。

 コロナやオリンピックとか騒いでいるけれど、それはそれとして一人一人が日常生活をどう生きるのか、そこがきちんとしていなければ、そもそも議論にならないだろうと思ってしまう。

 どう考えたって、しばらくコロナは感染拡大するだろう。その感染拡大を少しでも減らすとなれば、これまで言われてきた予防策をきちんとするしかないだろう。その中でワクチン接種も進んでいくだろうし、治療薬も開発されたりしていくだろう。飲食店で食事したり酒飲むから感染拡大するのではなく、飯食いながら、酒飲みながらわーわー騒ぐからいけないんじゃないの?政治が悪いのかもしれないけど、人々の行動自体もどうかと思うところはある。

 オリンピックだって、本質的な問題は「スポーツって何?」ということじゃないかという気がする。スポーツするのに莫大な金が動くって、私には尋常じゃないと思えて仕方がない。健康とか趣味のためにスポーツするのは分かるけど、なんでそんなに利権が絡むまで、欲得が絡むまでしてやらなきゃいけないのだろう?国威発揚のため?金メダルたくさん取ったから立派な国だ、国民だって、そんなことはないでしょう。ジョークですか?
  そうはいっても、現実はすぐには変わらない。坐禅して毎日の生活を一生懸命生きていくしかない。そのことが現実を真に変えることにつながると思っている。