正法眼蔵がなければ死んでいた 正法眼蔵を手に取ってからその十

 何かが変わったような感じ、感覚。うまく表現できないが、2つばかり書いてみようと思う。

 坐禅して、怒り、憤激、憎しみ、悲しみがあふれ出てきて、慌てて坐禅に戻るのを繰り返していることに変わりはない。

 けれど、その中で、感じたこと。ただし、坐禅したら毎回感じた訳ではない。週に1度か2度程度のことに過ぎない。その点は強調しておく。

 1つは、坐禅していて自分の体の周りの空気が陽炎のように揺らいでいることに気付いたこと。別に神秘的なことではなく、寒い時期だったので、じっと坐っていることで体温で温めれらえた体の周囲の空気が立ち昇っているに過ぎない。単なる物理的な現象に過ぎないが、そのことに気付いた時は「なるほど、温められた空気は上に昇るのだな。自分は周囲の気温より温かい物体なのだな」とちょっと驚いた。当たり前のことが当たり前に起きていることに気付いた、ということ。

 もう1つは、自分はひろーい世界のほんの片隅でぽつねんと坐っているという感覚。これも当たり前と言えば当たり前。でも、それを感じたというのは、これまでなかった。自分にとっては初めての感覚だった。